甘い魔法②―先生とあたしの恋―
市川の寝顔を見ているだけで、愛しさが湧き上がってくる。
「ごめんな……」
ゆっくりと髪を撫でていた時、開けっ放しの鞄の中に目が止まった。
その中から覗くのは、市川の筆箱。
そして、それにくっついている林檎うさぎのキーホルダー。
そっと手を伸ばしてそれを眺める。
黄緑色の林檎うさぎについているシルバーのプレートを見て……、また市川を見た。
『守りたい恋』
いつか市川が隠したがってた文字が、胸を締め付けていた。
あの頃から俺の変化に気付いて、こんな事を願っていた市川を想うと、急に息苦しくなって喉の奥が痛くなる。
それを追い出すように、大きく息を吐き出した。
気持ちを入れ替えるために。
市川が次目を覚ました時、もうそんな不安を抱える事のないように。
市川の静かな寝息が、俺の気持ちを落ち着かせていった。