甘い魔法②―先生とあたしの恋―
聞くと、先生は柔らかく笑う。
その笑みだけで答えになっているような笑顔をされて、なんだか身体の力が抜けていくみたいだった。
今まで、ぴんと張っていた緊張と不安の糸が、先生の微笑みに安心して緩んでいく。
そうしてみて、初めて自分がどれだけ思いつめていたのかが分かった。
「ごめんな、色々心配かけて。
……けど、もうそんな心配させないから。
市川が、必死になって教えてくれたから……、もう大丈夫だ」
「……本当に?」
「……本当に」
困り顔で微笑む先生。
乾いた目にじんわりと涙が浮かぶ。
散々泣いた目はまだ熱を持っていたけど、だけど、頭の中はすっきりしていた。
先生の落ち着いた微笑みだけで、もう全部が解決してしまったような気になったあたしは、ただ黙って先生を見つめてた。
久しぶりの先生の穏やかな表情。
本当に心の底から安心して……、そこで、気付く。
もしかしたら、出会ったあの日からずっと先生は一人で……
今、初めて心を開いてくれたんじゃないかって。