甘い魔法②―先生とあたしの恋―
あたしが知る限りでも、年単位で先生を見ていた馬場先生がそんな簡単に引き下がるとは思えない。
でも、先生は余裕のある笑みを浮かべて、横目であたしを捕らえた。
「俺の狂気的な愛には耐えられないって」
ふざけて言ってるようにも聞こえて、顔をしかめる。
だけど、微笑む先生は至って真面目みたいだった。
「狂気の矛先を向けられた感想は?」
「……さぁ」
誤魔化すと、先生は笑ってからあたしの肩を抱き寄せた。
ぐんと近くなった距離。
顔を上げると、20センチほどに迫った先生と目が合う。
先生の香りが先生のテリトリーに入った事を教えて、胸が騒ぎ出す。
「拒否られても、残念な事にもう標的を変える事はできねぇんだけどな」
意地悪に、そして妖美に微笑む先生に、あたしも笑って先生の背中に手を回す。