甘い魔法②―先生とあたしの恋―
眉を下げて、難しい表情を浮かべながらしょんぼりする先生。
「……」
思わず抱き締めたい衝動に駆られる。
今回の件の副作用なのか、やけに先生を可愛いと思う母性本能が発揮されて、場違いながら頬が緩む。
「うん。先生はあたしの事よく見ててくれるから、絶対に気付かれると思ってた。
いつもなら気付いてたよ。
気付かなかったから……だから、余計に先生がおかしいって思い始めたんだもん」
口許がにやけるのを我慢しながら話すと、すっかり元の鋭さに戻った先生に突っ込まれる。
「……今、俺の事可愛いだとか思ってんだろ」
「……自意識過剰だってば」
「おまえ、俺が凹んだりしてる時だけキラキラした目で見てくるからすぐ分かんだよ。
……ほら、またそういう目で見てるし」
「だって、先生がすねてて可愛いから」
我慢できずに笑うと、先生は最初だけ不貞腐れた顔を決め込んでたけど、一緒になって笑みを浮かべた。
そして、あたしの手からケータイを抜き取る。