甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「もっと早く相談してくれれば、すぐに分かったのに」
「なにが?」
「ストーカーの犯人が」
「えっ……」
顔の横でケータイを小さく振りながら困り顔で笑う先生に、声を失う。
先生の知ってる人かなっていうのは思ってたけど、でも……。
驚いたまま何も言えずにいると、先生は嫌がらせメールのアドレス部分を見せる。
「a.sky……。
前に無理矢理メアド交換された時に、この意味が少し気になって問い詰めたからよく覚えてる。
本人は最後まで言わなかったけど、すぐぴんときた。
aとkは、秋穂の事で、sとyは……このストーカーメールの送信者。
つまり犯人の事だな」
秋穂ちゃんの名前が出たことで、その人物があたしの頭の中で特定されていく。
つまり、施設関係者で、名前にsとyが入ってる人は―――……、“瞬”。
「……坂口先生の、事」
先生はにこっと笑顔を浮かべて頷いた。
メールの犯人の正体に、あたしは再び声を失っていた。