甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「なーんだ、バレちゃったかー」
翌日の夜、先生によって寮に呼び出された坂口先生は、先生とあたしの面持ちからすぐにそれを悟った。
悪びれずに、座ったパイプ椅子を後ろに傾ける坂口先生。
それを見てると、本当にこの人が犯人なのか疑問に感じてくる。
……リラックスしすぎ。
っていうか、バレたのに緊張しなすぎ。
呆れながら見ていると、坂口先生は先生を見る。
「ハル兄、怒ってる?」
「怒ってんに決まってんだろ。
おまえにも頭にきてるし、この件に気付けなかった自分にも苛立ってる。
全部おまえのせいだし」
「微妙に八つ当たりじゃん。市川さんにはひっぱたかれてもいい事したけど、ハル兄には直接関係ないじゃん?
別れろーって脅したわけでもないしさ」
あたしに殴られてもいいって思ってるって事は、悪い事をしてたって意識はあるんだ。
それが分かって、少しだけ安心する。