甘い魔法②―先生とあたしの恋―
漠然とした不安
「おはよー、実姫」
「あ、諒子。おはよー」
月曜日の朝、下駄箱で一緒になった諒子に挨拶をしながら靴を履き替える。
春休み明けの始業式が行われたのが金曜日。
その後すぐに土日の休みになったからか、登校する生徒達はまだ休み気分が抜けないのか、気だるさが見えた。
もちろん、あたしもその一人。
「なに? なんか疲れてない?」
眠そうに歩くあたしに、諒子が首を傾げる。
「んー……実は土曜日の朝にゴキブリが出て、土日は駆除と掃除に終われて……」
「ゴキブリ?! やだー……実姫が部屋汚してるからそんなのが出ちゃうんだよ」
「違うって。最近はちゃんと整理してるし。っていうか建物の造りが古いせいだよ。
でもかなり細かいところまでやったからもう出ないと思うけど。
寝たの1時過ぎだよ? すごくない?」
掃除嫌いなあたしが丸2日間も掃除にこの身を費やした事に賛美を求める。
でも、諒子はなぜかニヤニヤした表情であたしを見ていた。
「それさー、本当に掃除で?」
「うん」