甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「興味があったから。ハル兄が入れ込む女ってどんなだろって。

試してやろうって気持ちもあった。

秋穂が想いを譲るほどの女かどうか」

「……」

「あと、秋穂が言ってたんだよね。

市川さん、なんか嘘ついてたっぽいって。

ハル兄と2人して何かを隠してる感じがしたってさ。

……今思うと、本当に女の勘って怖いなーって感じだけど」


坂口先生は、ははって軽く笑った後、あたしを見た。


「だから、歓迎会の飲み会の時、ハル兄のケータイから市川さんのメアドを盗んだ。

……でも、今は後悔してるよ。半分、興味本位であんなメール送った事。

ごめんね、市川さん」


なんて答えればいいのか、戸惑った。


あのメールの事を今も怒っているかって聞かれれば、答えは「NO」だし、でも、かと言ってすぐに頷いて許すのも……。


ここですぐに「いいんです。気にしてないですから」なんて答えれば、坂口先生の中でのあたしのポイントはアップするのかも。


だけど……。




< 432 / 458 >

この作品をシェア

pagetop