甘い魔法②―先生とあたしの恋―


声がかすれる。

別れを切り出した時の先生の顔が思い出されてきて、涙が浮かんでくる。


「あたしは……、先生を傷つけたり、先生からの信頼をなくしたりする事の方が嫌だった。

1年前、あたしが別れるって言ったのに、先生は追いかけてきてくれた。

けど、今回また別れるなんて言ったら……、もうそこで終わっちゃう気がして。

だから、選べなかっただけなんです……」


先生の事を思えば、ちゃんと相談して欲しかったに決まってる。

あたしだって逆の立場だったらきっとそう思う。


だけど、どうしても先生を不安にさせたくなくて……それで、黙ってた。

先生がこの関係を面倒に思ったらどうしよう、なんて不安も、どこかにはあったのかもしれない。


先生の事、信頼してるのに、そんな不安がよぎったのは事実だった。


先生を思ってじゃない。

ただのあたしのわがままだ。



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