甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「市川、瞬をサンドバックにしてやれ」
「じゃあね、ハル兄。市川さん。
また明日」
「あ、さよなら……」
最後まで先生をからかうような態度の坂口先生が、寮から出てドアを閉める。
その様子をぼんやりとしたまま見つめて……、
やけに静かな先生に気付いた。
隣を見ると、頬杖をついたまま呆けている先生が映った。
「……どうかした?」
「いや。なんか……基本的に俺ってダメ男だなって思っただけ」
「ダメ男?」
「秋穂にも半分気付かれてたし、瞬にも……それに、自分の感情抑えられなくて襲うし。
なんか本当にどうしょうもねぇな……って、最近反省ばっかなのも情けねぇし……」
本格的に沈んでる先生にかける言葉を探すけど、見つからない。
それどころか、可愛いなんて思っちゃって、顔が緩まないように必死に我慢する。