甘い魔法②―先生とあたしの恋―
そんなあたしを、先生はじっと見つめてから、困り顔で微笑んだ。
「こんな男でも、あのプロポーズ撤回しないでくれる?
あれを有効にする日までには成長するように頑張るから」
忘れたい事実を持ち出してきた先生。
一気に恥ずかしくなってきて、赤くなった顔で頷く。
声こそ出さなかったけど、深く頷いた。
それを見て、先生は満足そうに微笑む。
「じゃあ、頑張らねぇとな。
いつまでも一人で落ち込んでる場合じゃねぇな」
立ち上がって背伸びをする先生の向こうに、蛍光灯の眩いほどの光が見える。
数日前まで先生を覆っていた影が、今はすっかり姿を消している気がして……。
あたしも安心して微笑んだ。