甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「……諒子だって、号泣だったくせに」

「和馬くんも泣いてたけどね」


すかさず返されて、思わず笑う。


「泣いてないって言い張ってたけどね。

和馬、中学の卒業式も泣いてたから。きっと大学も泣くよ」

「でも和馬くんってそういうキャラだもんね。なんか見てるとおかしいけど、安心する」

「そうだね……。

でも、大学離れちゃったら和馬をからかう事もできなくなっちゃうんだね」


卒業式が終わって、教室で担任の島田を待ちながら諒子と話す。


式の最中は、色々な事が思い出されてきて涙を誘うから、あまりきちんと考えられなかったけど……。


この学校を卒業するって事は、色んな事と離れ離れになるって事。


諒子とは同じ学校に進む事になったけど、和馬とは離れなくちゃになる。

大学が離れたら、きっと顔を合わせる事もそうそうない。


それに……、先生とも。


それを考えると、しんみりどころか、どうしょうもないほどの寂しさに襲われる。




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