甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「―――あ、」
みんなが校庭で騒ぐ中、カメラを取りに戻った寮。
ドアを開けると、なぜか食堂に先生がいてびっくりする。
あたしに気付いた先生は、にこっと微笑んだ。
「なんでいるの? まだ勤務時間でしょ?」
「ちょっとな」
「……写真撮影が始まりそうだったから、逃げてきたんでしょ」
図星だったのか、先生が笑う。
「先月、卒業アルバム用にこれでもかってほど撮ったんだから、もういいだろ」
「でも、みんな楽しみにしてると思うよ」
「すぐ戻るよ。
市川が戻ってくるのが分かってたから、ちょっと戻っただけだし」
「え、なんで分かったの?」
聞くと、先生は食堂のテーブルの上に置きっぱなしになっていた、あたしのデジカメを指差す。
今日はあたしの方が先に寮を出た。
って事は、先生はあたしがデジカメを忘れたの知ってたんだ。