甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「待ってたの?」
「渡したいモンもあったしな」
「……卒業おめでとうの花束とか?」
「胸んとこについてる花で十分だろ。つぅか、花束とかキザな事できねぇし」
「嘘。先生意外とロマンチストだからいけると思うけど」
からかって笑うと、先生は苦笑いを浮かべた後、鍵を差し出した。
見覚えのない鍵を受け取りながら、首を傾げる。
けど、すぐにハっとして寮のドアを振り返った。
「え、まさか、この寮にもう1個鍵つけたの?」
「んな訳ねぇだろ。市川が出てくんだから、そんな用心する必要もねぇし」
「それもそっか」
「つぅか、俺も出てくし。ここ」
「……え」
驚いて、一瞬声が出なかった。
何も言えずに見つめていると、先生がにこりと微笑んでから話す。