甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「じゃあ……恥ずかしいけど、そうする」
そんなあたしに、諒子はにっと笑う。
……悪巧みでもしてそうな顔つきで。
「大体、その『秋穂』って子と同等なんて気に入らないしね。彼女だって思い知らせてやんなきゃ。
次行った時は名字で呼び合う爽やかカップルなんかやめて、堂々と『ハル』って呼んでやりなよね」
「……呼び方で勝敗が決まるわけじゃないんだよね。残念ながら」
軽く笑いながらため息を落とすと、それを見た諒子は目を伏せて微笑む。
「やっぱ気にしてたんだ。『秋穂ちゃん』」
「……」
そういうつもりで言ったわけじゃなかったのに。
だけど、それを否定しなかったのは……諒子の言った事がハズレではなかったから。
恋愛が勝ち負けじゃないなんて知ってる。
だけど、あたしの知らない先生を知ってたり
あたしの知らない気持ちに共感できたり
先生が欲しい言葉を用意できたり……。