甘い魔法②―先生とあたしの恋―


秋穂ちゃんは、あたしにはないモノをたくさん持ってる。


あたしが経験した事のないようなつらい体験をしてる。



だから……、だからこそ。


小さな不安が浮かぶ。



先生の気持ちを信じていても。

先生とあたしの気持ちが重なっている事が一番大切だって分かっていても。



埋められない隙間がある。



それを、秋穂ちゃんなら全部補える気がして―――……。




「どうしょうもないようなやきもちなんだけどね」

「ハルくんは実姫以外見えてないから大丈夫でしょ。

ほら、早く行かなくちゃ。遅れて注目浴びたらハルくんにまたからかわれるよ」


明るく笑いかける諒子に、あたしも笑顔を返す。


まだ眠たい身体に力を入れ直して、ほとんど生徒のいなくなった教室を後にした。





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