甘い魔法②―先生とあたしの恋―




『えー、東朋高校から来た服部です。化学を担当しています。

解剖等、女子生徒に嫌われない程度に頑張りたいと思いますので宜しくお願いします』


去年同様、たくさんの花で囲まれた教壇。

その上では、赴任してきた数人の先生の自己紹介が行われていた。


去年のこの頃は、まだあたしは啓太と付き合ってて、先生の事なんて何とも思ってなかったんだっけ。


そんな事を思い出すと本当に懐かしくなってきて、卒業式でもないのに感情的になってしまいそうになる。


1年前教壇の上に座っていた先生は、茶髪のせいで他の先生からは少し浮いてて。

そんな姿に女子生徒から黄色い悲鳴があがったんだっけ。


「ねぇ、あの人カッコよくない?!」

「あたしも思ってたっ!! なんかワイルドっぽくていいよね! 教科なんだろー……担当してくれないかなー」


去年同様に周りから聞こえてきたヒソヒソ話に、思わず耳を疑う。

視線を移せば、まるで去年のデジャブみたいな光景が目に映った。


教壇を見て、キャーキャー騒ぎ出した女子生徒。


その様子に、教壇に視線を戻すと―――……。



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