甘い魔法②―先生とあたしの恋―
先生の話題に、なんとなく視線を移動させる。
たくさんの教師が壁際に並ぶ中、すぐに見つけられたその姿を瞳の端で捕らえる。
絶対に眠たそうにしてると思ったのに、先生はそんなあたしの予想に反してちゃんと教壇を見ていた。
しかも結構楽しそうに。
女子生徒と同じくらいにこやかに坂口先生の紹介を聞いている先生。
それを不思議に思っていた時、坂口先生が続けた。
『あ、数学の矢野先生とは、兄弟みたいな関係です。
今矢野先生が集めてる人気を二分する気でいますので、そこんとこも宜しく』
にこっと笑いながら告げられた事実に、体育館内がどよめき出す。
知らなかった事実に、あたしも驚いて瞬時に先生に視線を移した。
先生は困り顔で笑っていて……、それは坂口先生の言ってる事を肯定していた。