甘い魔法②―先生とあたしの恋―
メールが伝える事
「じゃあハルくん、昨日は飲み会だったんだー」
翌日の昼休み。
諒子がわざとらしく『ハルくん』を強調させながら話している事に、苦笑いを浮かべる。
教室の中では、各々にグループを作ってお弁当タイム。
教室のところどころで賑やかな声が上がっていた。
「……わざわざ強調しないでよ」
「なんで? 別に普通に言っただけじゃん。
っていうか、コソコソ言ってた方が逆に怪しいんだから堂々としてなくちゃ」
購買のパンを頬張りながら言う諒子に、納得いかないながらも一理あると口ごもる。
「まぁ、そうだけど。
でも、ハ……ハル、珍しくかなり酔ってたよ。朝起きてこなかったし」
「へー、で、起こしたの?」
あたしが変なイントネーションになりながらやっとの思いで言った『ハル』には食いつかなかった諒子に、こっそり安堵のため息をつく。