甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「え、いくつなの?」
「それがね、結構いってるんだよ!! 聞いたらびっくりするかも」
楽しそうにテンションを上げた諒子が、じらすように言った時。
ポケットの中でケータイが震えた。
ケータイを取り出して受信したメールを開きながら、諒子にもう一度聞く。
「だから、何歳……」
受信メールを開いた途端、声が出なくなった。
声だけじゃない。
教室の時間が止まったように思えた。
視線がケータイの液晶画面に止まったまま、吸い込まれたように離れない。
「あのね、28歳なんだって!
矢野センより3つか4つも上なんだよっ?! びっくりじゃない?」
声を弾ませながら言う諒子の言葉が、まったくと言っていいほど耳に届かなかった。
それどころか、賑やかな教室の中にいるのに何も聞こえない。
あたし1人が、別世界にいるように、何も―――……。