甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「……普通に脅迫メールだよね、これ」
不安がぎりぎりまで大きくなった放課後、相談するために諒子に寮に寄ってもらう事にした。
打ち明けると、諒子は数秒間メールを見つめてからそう呟いた。
いつもは軽く明るい声をくれる諒子の声が妙に落ち着いて聞こえて、状況の悪さを再確認する。
「こんなの、誰が……っていうか、なんで実姫のアドレス知ってるんだろ。
このアドレス、見覚えないんでしょ?」
「……うん。ないと思う」
静かな寮に、時計の秒針の音だけが響く。
その音にはっとして、慌てて諒子に言う。
「諒子、夕ご飯の準備とかあるでしょ? ごめん、なんか……」
「今日は大丈夫。お母さん休みだし。
要くんもいるし、さっき遅くなるってメールしておいたから大丈夫」
ほっとして笑顔を返したけど、諒子はまだ難しい顔をしたままメールを見つめていた。
「あたしの事なんかより……問題はコレでしょ。
文面はメールなんかいくらでも変えられるから、男とも限らないし」