甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「そうだよね……」

「実姫のアドレスは誰かから聞いたにしても……。

矢野センとの事を知ってるって事は、学校関係だよね、やっぱり」

「……それか、施設の子か」


あたしがぽつりと漏らした言葉に、諒子ががばっと顔を上げる。

ケータイを間に2人で向かい合ってる状態のあたしは、その勢いに思わず後ろに手をつくほどだった。


「な、なに?」

「秋穂ちゃんじゃない?!」


諒子が興奮気味に言った言葉に、姿勢を直して目を伏せる。


このメールが届いて、最初に浮かんだのは秋穂ちゃんだった。

アドレスの頭文字も『a』だし、秋穂ちゃんならあたしと先生の事も知ってる。

それに、なにより動機がある。


……―――けど。


「でも、秋穂ちゃんはあたしのアドレス知らないと思う。

秋穂ちゃんとあたしの共通の知り合いって先生だけだし。

先生が秋穂ちゃんにあたしのアドレス教えるとは思えないし、秋穂ちゃんが勝手に見るっていうのも……。

秋穂ちゃんがあたしと先生の関係を知ったのはこないだだし、それから先生は施設に帰ってないし。

無理だと思う」



< 59 / 458 >

この作品をシェア

pagetop