甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「そうだよね……」
「実姫のアドレスは誰かから聞いたにしても……。
矢野センとの事を知ってるって事は、学校関係だよね、やっぱり」
「……それか、施設の子か」
あたしがぽつりと漏らした言葉に、諒子ががばっと顔を上げる。
ケータイを間に2人で向かい合ってる状態のあたしは、その勢いに思わず後ろに手をつくほどだった。
「な、なに?」
「秋穂ちゃんじゃない?!」
諒子が興奮気味に言った言葉に、姿勢を直して目を伏せる。
このメールが届いて、最初に浮かんだのは秋穂ちゃんだった。
アドレスの頭文字も『a』だし、秋穂ちゃんならあたしと先生の事も知ってる。
それに、なにより動機がある。
……―――けど。
「でも、秋穂ちゃんはあたしのアドレス知らないと思う。
秋穂ちゃんとあたしの共通の知り合いって先生だけだし。
先生が秋穂ちゃんにあたしのアドレス教えるとは思えないし、秋穂ちゃんが勝手に見るっていうのも……。
秋穂ちゃんがあたしと先生の関係を知ったのはこないだだし、それから先生は施設に帰ってないし。
無理だと思う」