甘い魔法②―先生とあたしの恋―
【第二章】
賑やかな訪問者
「ハル兄ー、いないのー?」
先生の唇があたしに微かに触れたところで、そんな声が聞こえてきた。
その声に身体をびくっと反応させると、先生はあたしから少し離れて眉を潜める。
「……瞬だ」
「え、坂口先生?」
「ああ。昨日すぐ帰したから近いうちに来ると思ってたんだよな。だから、来んなって言っておいたのに……。
まぁ、いいや。どうせ、夕飯の時間だから市川も下りるだろ?」
「あ、うん」
「じゃあ、行くか」なんて言いながら再度距離を埋めた先生が、軽く触れるだけのキスをする。
突然の出来事にびっくりするも、その反応を楽しもうとしてる先生に気付いて、口を尖らせた。
結局先生の予想通りの反応を返してしまったらしい事に悔しくなりながら、先生に続いて部屋を出た。
「あ、なんだ。いるんじゃん」
食堂にいた坂口先生が、先生を見るなり笑いかける。
人懐っこい笑顔が、その場の雰囲気も明るくしているように感じた。