甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「俺が好きでやってるだけだし、昌じぃも里子さんの意見も関係ないし。
それに住み始めればここも……まぁ、そこまで悪くねぇよ」
「ふーん」
まだ言いたい事がありそうな坂口先生だったけど、先生の言葉に最後はつまらなそうにそう呟いた。
こんな中でご飯食べてもいいのか、ちょっと気になったりもしたけど、でもここ食堂だし。と自分を安心させてから夕食に手を付ける。
お皿を覆っているプラスチック製のカバーを持ち上げると、中にはミートソースのかかったパスタがあった。
それを見てから、立ち上がって冷蔵庫を開ける。
「あ、市川。俺にもお茶入れて」
後ろから追ってきた声に振り返ると、先生が笑顔を向けていた。
「あたし、お茶じゃなくて粉チーズ取りにきたんだもん」
「立ったついでだろ。俺のペットでおまえの分も入れていいから」
先生の言葉に、2つのグラスにお茶を注ぐ。
もちろん、『矢野』って書かれたペットボトルから。