甘い魔法②―先生とあたしの恋―
2つのグラスがウーロン茶で一杯になった時、ふと坂口先生の事が気になって……もう1つ取り出したグラスに同じようにウーロン茶を入れた。
グラスを先生と坂口先生の前に置くと、坂口先生は少し驚いた様子であたしを見た。
「あ、嫌いですか? ウーロン茶」
「ううん。平気。いや、俺の分まで用意してくれると思わなかったから。ありがとね」
「いえ、っていうか……」
「俺の、ウーロン茶だもんな」
チラッと視線を向ければ、苦笑いを浮かべる先生が目に映る。
「だって、先生と仲良しなんだからいいじゃん」
「そうだよ、ハル兄ー。ケチケチすんなって」
あたしに加勢した坂口先生に、先生は仕方なしにパスタを口に運ぶ。
自分のグラスとチーズを持って席に戻ると、あたしをじっと見る坂口先生に気付いた。
「市川さんはなんでこんなボロい寮に住んでんの?」
少し答えにくい問いかけをされて、言葉を選びながらなるべく簡潔に説明しようと心掛ける。