甘い魔法②―先生とあたしの恋―
鍵を持っているのは、俺と市川と昌じぃ、それと食事係りの中村さんのみ。
普通なら教員が使用できる場所に置くのが鉄則みたいだったけど、昌じぃに頼んで昌じぃ以外の教員が触れない場所に保管してもらう事にした。
……そんな警戒しなくても、誰もこの寮の鍵なんて欲しがらねぇだろうけど。
一応念のため。
市川が一人であの寮で過ごすのは、学校が終わってから俺が帰るまでの約3時間。
鍵を付け替えたところで、それは本当に気休めにしかならない事に気付いて、俺のため息は尽きる事がなかった。
元から、市川の事に関しては心配性だった。
だけど、最近の俺の考えだとか行動は、自分でも少し異常だと思うほどで。
多分、心配性だなんて言葉には収まりきらない。
この前の外出の件も、今回の鍵も。
自分でも不思議なくらいに、離れる事に不安を感じてる。
心の奥底で、怖がってる。