甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「坂口先生って彼女いるんですかー?」


女子から飛んできた質問に、顔をしかめる。

あまり他人の恋愛に興味がないせいか、一つ屋根の下で暮らしていた瞬の恋愛さえよく知らないけど……。


でも、あいつは、多分―――……。


「……さぁ。男同士ってあまり恋愛がどうのって話はしねぇからな。

聞いた事ないけど」

「えー、でも坂口先生は、矢野センには彼女がいるみたいだって言ってましたけど」

「は?」

「しかも矢野センの方がベタ惚れなんだとか、色々言ってましたー」

「……へぇ。坂口先生は、他になんて言ってた?」


なるべく動揺を隠しながら聞くと、女子生徒は視線を宙に泳がせながら記憶を引っ張り出す。


「えーっと、なんか、矢野センは恋愛に対して今までずっと淡白だったのに、一年会わないうちに変わったって。

矢野センみたいな男は一人に固執するタイプだから、一歩間違えるとストーカーとか犯罪に繋がるから怖いって」

「……」





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