甘い魔法②―先生とあたしの恋―


なんとも腹立たしい言葉に、歯を食いしばって苦笑いを浮かべる。

それでも怒りのみが頭を支配しきらないのは……どこか当たってると思ってる自分がいるからなのかもしれない。


昌じぃといい、瞬といい……。

普段からあまり気持ちだとかを表面に表さないでいるつもりなのに。

さすがに一緒に暮らしていると色々素性がバレてるもんだなー、と少し感心すらしてしまう。


こんな熱情なんだか激情なんだか分からないほどの気持ちが自分の中にあるなんて、俺でさえずっと知らなかったのに。


「えー、矢野センって一途なタイプなの? なんか意外ー」


他の生徒からそんな言葉が飛んできて、軽く笑いながら黒板の文字を消す。

普段なら週番がやる仕事だけど、生徒に表情を見られないのに丁度いい。


授業が終わるまであと二分。


「俺だってもういい歳だし、遊んでらんねぇだけ」

「でも、矢野センモテるでしょ? 浮気しようとか思わないの?」






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