甘い魔法②―先生とあたしの恋―
確かに分かりやすい馬場先生の態度には、俺も気付いてたけど。
だけどまさか生徒にまで……。
馬場先生の気持ちにはだいぶ前に気付いて、市川を通してそれとなく可能性がない事を伝えたのに……。
それでも、話す度に嬉しそうな笑顔を満開にさせる馬場先生を思い出して、苦笑いする気にもなれなかった。
こんだけの生徒が気付いてるって事は、きっと市川も……。
それを考えると、笑えない。
「教師からかうのもいい加減にしろよ。
んな事ばっかり言ってると、おまえ達が俺にした相談事全部漏らすからな。……ある事ない事適当に」
若さが災いして、やけに馴れ馴れしくしてくる生徒から相談された件数、数十件。
今までは心底面倒くせぇとしか思わなかったけど、それがこんな形で役立つとは思わなかった。
俺の言葉に、該当する生徒達が慌てて首を振る。
「おまえらっ、これ以上矢野センからかったり、馬場を問い詰めたりしたら俺が許さねぇからなっ!」
先頭切ってクラス中に声を響かせたのは、澤田っていう男子生徒。
呆れるほどの純愛片思い中で、その事をいちいち俺に伝えにきてる、学習室の常連客。