チョコレートより甘い恋
そんな風にしてわたわたと一人百面相していると、教室に聞き覚えのある声が響き渡った。


「おーすっ!はよー。」


明るい元気な声に、クラスのみんなが反応する。


「おー、相変わらず朝から元気だなぁ。」


「朝練お疲れ〜」


各々が返事を返しながら、スーッと自然に波が動く。


攫われるように彼のもとに人が集まっていく。


そんな様子をいつも、あたしは少し離れたところから眺めていた。


彼の話や、笑い声。


笑顔を見るたび、あたしの胸は壊れたように暴れだす。


呼吸が苦しくなり、心臓がばっくんばっくんと音をたてる。


そして、その症状は日に日にどんどん悪化していく。


そう…


それはまるで、不治の病にでも侵されたかのように…


< 19 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop