チョコレートより甘い恋
「ま、待って!」


「うぉっ…」


き止めようと慌てて逹木くんの服の袖を引っ張ったため、力が入りすぎてしまった。


バランスを崩して転びそうになった逹木くんにごめんと謝ると、逹木くんは不思議そうな顔をしてきた。


「あ、あのね。」


暴れ回る心臓を落ち着かせるように、ごくんと唾を飲む。


覚悟を決めて口を開くと、大きく息を吸い込んだ。


「コンビニとかじゃなくて。ちゃ、ちゃんと作ってきてて。えと、あの、今日、バレンタインだから。逹木くんに渡そうと思って、ちょ、チョコ持ってきてて。


そ、それで…」


そこまで言って、俯いてしまった。


勢いで喋っていたから、何を言っているのか自分でもわからなくなってきて。


恥ずかしくて、緊張して。


心臓が破裂しそうで、体中が熱くて。


逹木くんの方をまともに見れなかった。


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