ブラウン管の中のあなたを見るたび、私はまた溜め息をつく




キスシーン…





『本当はさ、来週の予定だったんだけど、前倒ししちゃって、言う機会なくて、ぎりぎりになっちゃって…』




慌てた口調で言うけど、


別にいつ言われるとかじゃなくて、



ただ、単純に“キスシーン”がショックで。



キスなんて、数えられるなんてくらいもしてない。




数じゃないよ?数なんかじゃないけど。





『メグ?』



でも、仕方ない。


仕方ないんだよね?





「そっか、うん、頑張ってね…」



すぐに電話を切った。

だって泣き声聴かせるなんてできないでしょ?



「っふぇっ……」




こんなの両思いだなんて言えない。



いえないじゃん。



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