鳥籠

*****


夕方、アパートに帰ると。柚莉がテレビを見ながらポテトチップスを勝手に開けていた。

「柚莉、それ勝手に開けないでよ」

頬を膨らませ、ポストから取ってきていたチラシで柚莉の頭を軽く叩く。
柚莉はそんなことも気にかけない様子で、軽く首をかしげながらあたしに袋を差し出す。

「食べる?」
「今いらないよ。何しに来たの?」
「可愛い柚莉ちゃんが来て上げたのにぃ。歓迎してよ♪」

柚莉とは別のアパートに住んでいる。
あまり離れていないのだけど、バンドでも会うし、そんなに家を行き来することはない。
とはいえ、お互いこの辺で唯一の身内。合鍵くらいは持ってる。

「何か用じゃないの?」

なかなか来ない柚莉が来るのだから、何か用があるのだろう。
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