鳥籠
「…でもさ、何でうちら…?」

柚莉が、マネージャーに尋ねる。
だって、このマネージャーだってうちら専属じゃない。
うちの事務所に一応所属してる、って程度のバンドを何組もまとめて面倒見てる人だ。

「いや、クライアントの指名だし。気に入ったらしいし」

でも、それでも。

「俺ら、全然売れてなくね…?」

シュンの発言ももっともで。
CD出したって、どうにかとんとん。
ライブやったって、入りはほどほど。
知名度なんか、ごくごく一部。
地元FMで時々流してもらえる程度だ。

「レコード会社は、そこんとこ押すつもりみたいだよ」
「…押せんの? それ」
「隠し玉的な扱い? で行きたいとかって」
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