鳥籠

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まぁ、バンド続けてる以上、メジャー契約できるのは大歓迎。
取り敢えずは、ギター弾いてる「ふり」しながら、職業はミュージシャンですって言える。
今は、事務所から給料出てるとは言え、無職みたいなものだ。

「柚莉は? どう思う?」
「あー、歓迎。迷う理由ないじゃん? おかんも安心っしょ」

ほんとに、柚莉は動く分良く食べる。
ホールのバウムクーヘンを、外側から一層一層はがしながら食べている。

「だよね。二人娘がこれだもんね」

実家に一人でいる母は、何も言わずにあたしたちを好きにさせてくれてる。
でも、内心は心配しているはずだ。
田舎のことだから、きっと近所の目も厳しい。
結婚するか、せめて就職するかして欲しいだろう。
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