鳥籠
「アキヒロ、あのな、やめる理由を聞いてんだよ」

シュンが、やっと冷静さを取り戻して問いただす。

「理由? 俺、プロになりたいわけじゃないから」

ああ、何てシンプルなんだろう。
そういうことなんだ。

それだけの、ことだったんだ。

「でも、そんな、流通とかが変わるくらいの話で…そんな大げさに考えることじゃないよ?」

柚莉も、やっと口がきけるようになった様子で、アキヒロに問いかける。

「お前らには、そんな大げさなことだったんだろ?
 なのに、偶然はじめた俺がいるのって、おかしいよな」
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