鳥籠
「何で」

何で、あたしがシュンを待つの。
うつぶせ、返事をしない。

シュンは、あたしをそのままに、階段をとんとんと駆け上がって行った。

ああ、彼の所在を確認に行ったんだ。
でも、どうせ出て来ない。
着拒にしてるくらいだ。
シュンの声がしたって、無視をするに違いない。

遠く上の方から、ノックの音がドンドン、とする。

無駄だよ、きっと。
出たくなければ、出てこない。
アキヒロはそうするよ、きっと。
とことんマイペースだったんだもん。
やりたくなければやらない。
どうでもよければ断らない。
そんなシンプルなルールで動いていた人だから。
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