鳥籠
ノックの音は、それきり聞こえない。

少し経つと、階段を下りてくる足音。
その足音はあたしの隣で止まり、そこへ腰掛けた。

「朱、行ってみる? 写メ見る?」
「どっちもイヤ」

シュンの携帯が、ぱたんぱたんと開いたり閉じたりする。

「…帰る?」

こくり、とうなずくと、シュンはあたしの腕を引いた。
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