鳥籠
「朱。……じゃ、見ろ」

命令して、あたしの前に携帯を置く。
セーブ画面のそれは、真っ暗。
キーを押せば、あたしに見せたくないものが表示されるはずだ。
そんなもの、見たくない。

「いらない」

でも、シュンは携帯には手を出さない。
命令したからって、画面をあたしに突きつけるほど、シュンだって強くない。
ひたすら黙って待っている。
あたしは、嫌なものは嫌だ。
見たくないものは見たくない。

嫌なものだとわかっていて、それを見るほど悪趣味じゃない。

ゆっくりと、時間だけが流れていく。

時間が流れても、あたしは動けない。
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