鳥籠
「…名前わかんなくたって、けっこう困んないんだけどね」
「初めてのヤツじゃないんだろ?名前くらい覚えてやったら? 話だって合わないだろ」
「うん、合わないよ」

合わなくても別にいい。
あたしは別に話し相手を探してるわけじゃないから。
だからって、抱かれたいとか、抱きたいとか、そういう気持ちもない。
一緒にいたいわけでもない。

ただ、何となく。

「…ね、シュン、今日ヒマ?」
「ん? いいよ」

シュンはすぐに勘付いてくれる。

あたしが休みたがっている時、何も聞かずに守ってくれる。
シュンの腕は、あたしのシェルター。
いつだって、周りのものから、あたしの目を覆い隠してくれる。

たまには、そんな正体のわかるオトコと過ごしたい日だってある。
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