鳥籠
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どこか、落ち着かなかった。
アキヒロのそっけない態度が、あたしを何故か不安にさせる。
あの人の視線は、あたしをすり抜けていく。
無視されている、というのとは違う。
あの人の態度は平静で、とても平等。
あたしだけをないがしろにするわけでもないし、誰かだけをちやほやしてるわけでもない。
シュンの腕の上にうつぶせ、唇をかみながら今日のアキヒロの一挙手一投足を思い出す。
…思い出せる。
何から何まで。
あの人の髪の揺れるさまから、指の動き。
それを、あたしがずっと眺めていたなんて、誰も気付かなかっただろう。
いつものようにぼんやりしてるのだと、きっと皆思っていた。
でも、あたしは別にぼんやりなんかしていない。