鳥籠

第四節

記憶喪失は、止まらない。

そのたびに、シュンに聞いて確認をしてみる。

「ちょっと、おかしくね?」

わずかに不安げにシュンが言う。

「だってさ、増えてない? オトコ。人数多くて覚え切れないとかじゃ…」
「ない」

首を振って、ため息をつく。

「付き合い長いのも忘れてる」

長いったって、半年とかそんなもんだけど。
名前も思い出せないのに、誘われれば触れ合ってしまう。
元々は、顔と名前を一致させて覚えるのは得意な方なのに。
それが、駆け出しの頃にやってた水商売のバイトでは役に立ってた。

あたし、何かおかしくなってきてる、よね。
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