鳥籠
「…シュン、は」
「なに」
「あたしのこと、好き?」
「うん、好きだよ」

まるで当たり前のようにシュンは微笑んで言う。
少しは救われる。
名前もわからないオトコに言われるよりは、ずっと気持ちが感じられる。

「よかった」
「何だよ、すっげぇ言われてるくせにさ」

そのこと自体には何も思わないようにシュンは笑う。

「そんなことよか、その物忘れ? それ、心配じゃん。
俺のことまで忘れんなよ?」
「大丈夫だよ、いくらなんでも」
「そんならいいけどさ。でも、やっぱヤバいよ。
どいつが本命か知らないけど、本命忘れたら最悪じゃん?」
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