鳥籠
あたしは、結局この囲みから一歩も出られない。


出られないんだ。


どれだけ出たくたって、適当に甘やかされて中へ戻される。
そうやって、彼らの視線が絡みあって出来た籠の中で過ごしているんだ。

そんなイメージが、ふと浮かぶ。

強く、抱きしめられながら。

結局、あたしってペットじゃん。


息が苦しい。


「向こう…」
「え?」

腕が緩む。
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