鳥籠
「……アキヒロ」
「駅、逆だぞ?」
「違う」

あたしはただ、うつむいて呟く。

「じゃな。おやすみ」

あたしにそう声を掛けると、アキヒロは階段を駆け上がって行ってしまった。

顔も上げられない。
あいさつもできない。
あたしはそのまま、立ち尽くすしか出来なかった。

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