鳥籠

*****


「誰、だっけ?」

あたしがごくごく真剣に聞いてみると、そいつは笑いをかみ殺しながらあたしを見つめる。

「何それ。あんま面白くねぇんだけど」

あたしが真顔で冗談をとばすのはいつものこと。
そいつも慣れてるみたいで、気にも留めないでそのまま評価した。

「名前。名前言って」

体を起こして、覆いかぶさりながら彼の顔を覗きこむ。
もう、知ってる顔なのか知らない顔なのかもわからない。

「マジ?」
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