鳥籠
肩に掛かるほどの茶色い髪をかきあげ、彼は面倒くさそうに顔をしかめる。
よく焼けた褐色の肌に、金のネックレス。
年は、あたしと同じくらい…?
腕にはドラゴンのタトゥ。

見た目から何か手がかりが見つかれば。
そう思って、隅々まで見直してみるけど、ヒントの一つも見付からない。

「誰? 誰なの? あんた、誰!?」

不安に襲われる。
背中がすうっと寒い。

「教えてってば!」

彼は、うるさい、とだけ呟いてベッドを抜け出していってしまった。
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