鳥籠

アキヒロの、長めのサイドの髪が、夕日をすかして赤く光る。
それを眺めながら、近くのファストフードにでも行くのかな、とそのままついて行く。

やけに彼が遠く見える。
手を伸ばせば叩ける、その丸めた背中が小さく見える。

何故か心細い。
一瞬でも目を離したら、見失ってしまいそうで。
瞬きをする間も惜しくて、必死に見つめ続ける。

目が乾いて、痛い。
涙がぽろぽろとこぼれる。

それでも、まぶたが下ろせない。


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