鳥籠
息を潜めて、様子をうかがう。

動悸が耳にはっきり聞こえる。
ドキン、ドキン、と、うるさいくらい。
意識すると、ますます速くなってしまう気がする。

でも、それは激しいわけじゃなくて、あたしの体に暖かい血をただただ流しているだけ。

しばらく待っても物音はしない。
留守、なのかな。
タバスコの箱を開けて、ポストに瓶をゴトンと入れる。
それから、ドアにもたれかかった。

ああ、平穏だな。

ゆっくりと深呼吸をする。

何で、今までこんな空気を知らなかったんだろう。
空気は、こんなに静かで、いつでもそばにある。

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