鳥籠
「朱っぽくねぇ! ちょっとキモイ」

シュンは笑いながら、おどけて言う。

「俺に決めるっつってたのに、あれ、どうなったわけ? 約束が違うじゃん」
「約束なんかしてなーい。言ってみただけだから」
「ひっで! 俺、その程度なんだ?」

その程度、も大切だと思う。
いつか、恋に落ちるかもしれない可能性を残したままの友達。
だから、レンアイ相談はシュンにオープンにしてきた。

でも、今回はシュンに頼ることがない。
今までだったら、きっとシュンに頼ったであろうことがないわけじゃない。
だけど、シュンに頼ろうという気持ちがまったく起きない。

何だか、ちょっと、恥ずかしい。

恋は、あたしをも恥ずかしがらせて、虚勢を張らせて。
そんな自分がちょっと情けないな、なんて照れ笑いを浮かべてしまう。
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